インビザラインは、透明なマウスピース型の矯正装置を使用した歯列矯正治療の一つです。
ブラケットやワイヤーによる矯正と比較し、取り外しが可能で目立ちにくい素材であるため、ライフスタイルに配慮しながら歯並びを治したい人に適しているでしょう。
しかし、治療期間には個人差があるため、必ずしもすぐに治療できるとは限りません。
この記事では、インビザラインの期間をはじめ、装着時間や取り替え頻度、期間が長くなる理由、期間を短くする方法、保定期間についてご紹介します。
インビザラインの期間
インビザラインの期間は、治療の方法や歯並びの状態によって変わるのが一般的です。
ここでは、インビザラインの期間について詳しく解説します。
おおよそ1年半~2年が目安
インビザラインによる矯正治療は、おおよそ1年半〜2年が一つの目安です。
厚生労働省の医療機関向け資料では、矯正治療全体の平均期間が2〜3年程度とされており、インビザラインでも同様の期間が想定されることがあります。
しかし、治療の進み具合は患者が積極的に協力できるか、歯が動きやすいかなどの条件によっても異なるため、正確な期間は精密検査後に歯科医師が判断します。
症例によっては数ヶ月で終わることもあるため、治療を始める前に確認しておきましょう。
一部、歯周病や虫歯が悪化している場合は口腔内の治療を優先させるため、インビザラインの治療に入るまでの期間が延長される可能性がある点には注意が必要です。
種類別の治療期間
インビザラインは、主に小児用のインビザライン・ファーストをはじめ、成人用のインビザライン・フルやインビザライン・ライトがあります。
種類 | 適応症 | 平均的な治療期間 |
---|---|---|
インビザライン・ファースト | 乳歯が混合した歯並びの矯正 | 半年~1年半ほど |
インビザライン・フル | 全体的な歯並びの矯正 | 1年半~2年ほど |
インビザライン・ライト | 部分的な歯並びの矯正 | 3ヶ月~半年ほど |
インビザライン・ファーストは、主に乳歯が混合した歯並びの矯正に使用され、平均的な治療期間としては半年〜1年半ほどが一般的です。
インビザライン・フルは全体的な歯並び矯正(中等度~重度な症例)で1年半〜2年ほど、インビザライン・ライトは部分的な歯並び矯正(軽度な症例)で3ヶ月〜半年ほどかかるのが一般的とされます。
症例によって適した種類が異なるため、まずは歯科医師に相談するのが良いでしょう。
通院の回数
インビザラインでの通院の回数は、1.5〜2ヶ月に1回程度が標準です。
インビザラインは、患者自身がマウスピースを交換しながら治療を進めていくため、従来のブラケットやワイヤーを使用した矯正治療に比べて通院の回数は限られます。
しかし、アライナー(透明なマウスピース型の矯正装置)の調整を行ったり、歯が正常に動いているかチェックしたりするため、別途通院が求められることもあります。
ゆえに、通院の回数については歯科医師の指示に従うことが重要です。
インビザラインの装着時間
インビザラインは、決められた装着時間を守ることで矯正の効果が期待できる治療方法です。
ここでは、インビザラインの装着時間について詳しく解説します。
一般的に1日20時間以上
インビザラインは、一般的に1日20時間以上の装着が必要です。
会話や食事、歯磨きの最中は外しても問題ありませんが、特別な理由がない限りは常にマウスピースを装着しておくことが求められます。
装着時間が短いと計画通りに歯が動かず、治療が長引くことがあるため、必ず歯科医師に指示された時間、装着するようにしましょう。
毎日欠かさず装着
インビザラインは、毎日欠かさず装着することが求められます。
1日でも装着を怠ると、歯の移動に支障をきたす場合があります。特に、連続で装着時間が不足すると歯が元の位置に戻ろうとする後戻りが発生しやすくなるため、十分に注意が必要です。
出張や旅行など、イレギュラーな予定でマウスピースの持参を忘れると、数日〜数週間の装着中断が生じる可能性があるため、特に注意が必要です。
インビザラインの取り替え頻度
インビザラインでは、マウスピースを定期的に交換して矯正治療を進めるのが一般的です。
ここでは、インビザラインの取り替え頻度について詳しく解説します。
一般的に1~2週間ごと
インビザラインは、一般的に1〜2週間ごとに取り替えが必要です。
歯の移動には段階的な力が必要となるため、形状の異なるマウスピースを順に装着することで、計画した歯並びへと誘導していきます。つまり、同じマウスピースを常に装着しても、効果が期待できないということです。
したがって、歯科医師が決めた頻度を守って交換することが重要です。
枚数40~50枚が平均
インビザラインは、枚数40〜50枚が平均とされています。
症例にもよりますが、治療全体で使用されるマウスピースは平均40〜50枚程度で、軽度の症例だと20〜30枚、重度の症例だと100枚ほど必要となるのが一般的です。
しかし、厳密な枚数については担当の歯科医師の判断に委ねられます。
具体的な枚数が知りたい人は、カウンセリングや説明の段階で確認しておくと安心です。
インビザラインの期間が長くなる理由
インビザラインは、いくつかの要因で期間が長くなることがあるため、注意が必要です。
ここでは、インビザラインの期間が長くなる理由について詳しく解説します。
計画の立て直し
治療途中で予想と異なる歯の動きが見られたことで、計画の立て直しが必要となるとインビザラインの期間が長くなることがあります。
治療計画の再設計はリファイメントと呼ばれ、新たなマウスピースの作成が必要となることでより期間が延長されるため、適切な対応が必要です。
矯正治療では、経過に応じて柔軟な対応が求められる場面もあるため、豊富な症例に対応してきた歯科医院に相談することが欠かせません。
口腔内のトラブル
親知らずをはじめ、歯周病や虫歯など口腔内のトラブルが認められた場合も、治療を一時中断しなければいけない可能性があります。
口腔内疾患は治療期間に直接的な影響を与えるため、事前のケアが重要です。
なお、親知らずが正常に生えている場合は他の歯に悪影響を与えないと判断されることもありますが、逆に親知らずが原因で歯並びが悪くなることもあるため、注意が必要です。
具体的な口腔内のトラブルについては、歯科医師と治療を進めていくことをおすすめします。
装着時間が不十分
マウスピースの装着時間が不十分だと、予定通りに歯が動かず、期間が長引きます。
原則として、使用するマウスピースは毎日20時間以上の装着が必要です。
取り替え頻度が不十分
マウスピースの取り替え頻度が不十分でも、予定通りに歯が動かず、期間が長引きます。
例外もありますが、使用するマウスピースは1〜2週間ごとに取り替えが必要です。
抜歯が必要
顎のスペースを確保するために抜歯を行う場合、抜歯後の治癒や歯の移動が必要となることで、全体的な期間も長引きやすくなります。
抜歯が必要なほどの症例にインビザラインを採用するのはまれですが、歯科医師の判断によっては抜歯が必要になることもあるため注意が必要です。
歯並びが複雑
開咬(上下の歯が噛み合わない症例)や叢生(歯同士が重なり合っている症例)など、治療が困難な矯正も、全体的な期間が長引きやすくなります。
複雑な症例にもインビザラインを採用するのはまれですが、歯科医師が可能だと判断することもあるため、打ち合わせの段階で要望を伝えておくと安心です。
マウスピースを破損・紛失
マウスピースを破損したり紛失したりすると、新しいものを作成するまで時間がかかります。
装着が一時的に中断されることで結果的に治療計画自体が遅れる可能性があるため、使用するマウスピースは壊したりなくしたりしないようにしたいところです。
万が一、マウスピースにトラブルが発生した場合は、すぐに歯科医師に連絡しましょう。
インビザラインの期間を短くする方法
インビザラインは、工夫次第で期間を短くすることも可能です。
ここでは、インビザラインの期間を短くする方法について詳しく解説します。
矯正装置の装着時間を守る
インビザラインなどマウスピースを使用する治療では、矯正装置の装着時間を守ることで、治療期間の短縮につながります。
指定された1日の時間(20時間以上)を厳守することで、歯が動きやすくなり、結果的に治療期間が短くなる可能性があります。
矯正装置の取り換え頻度を守る
インビザラインは、矯正装置の取り替え頻度を守ることでも時間短縮になる場合があります。
1〜2週間を目途に交換することで、歯が徐々に動き、かかる時間も短縮されていきます。
経過観察を入念に行う
矯正治療にとって、経過観察を入念に行うことは非常に重要です。
歯の動きに問題ないかを定期的にチェックし、必要があれば早期に対処することで、当初の予定通りに治療を進めていけます。
なお、口腔内疾患などのトラブルは歯の移動に影響を与えることがあるため、歯周病や虫歯などにならないようケアの徹底も求められるでしょう。
口腔内をいつも清潔に保つ
口腔内をいつも清潔に保つことは、矯正治療の中断を避けるうえで欠かせません。
デンタルフロスやフッ素入りの歯磨き粉を使用するのはもちろん、必要に応じて歯科衛生士によるブラッシング指導も受けておくと、口内の健康維持につながります。
間食を避けるといった生活習慣にも、注意が必要です。
定期的に通院する
インビザラインの期間を正常通りもしくは短縮するには、定期的な通院が重要です。
歯科医師の指示通りに通院することで、歯の移動状況を正確に把握でき、必要に応じて早期対応が可能となります。
通院が億劫になり途中で途絶えると、歯科医師が想定していない歯の動き方をしてしまうこともあるため、必ず指定された日の通院が求められるでしょう。
光加速矯正装置を使用する
光加速矯正装置を使用することで、治療期間の短縮につながることがあります。
光加速矯正装置とは、近赤外線を照射して歯周組織の細胞(ミトコンドリア)を活性化させ、骨代謝を促進することで、矯正治療における歯の移動速度を上げる装置です。
移動速度が上がるため、結果的に治療期間の短縮につながるとされています。
痛みの軽減も期待できるなど、他の点でも優秀です。
他の矯正治療を併用する
症例によっては他の矯正治療を併用することで、歯の移動を効率化できるケースがあります。
組み合わせに関しては歯科医師の専門的な判断が必要ですが、相性の良い方法が見つかれば、より効率的に治療を進めやすくなる可能性もゼロではありません。
治療の途中で他の方法に変更することは滅多にありませんが、歯の動きが悪い場合は歯科医師の判断で柔軟に対応するケースもあります。
インビザラインの保定期間
インビザラインの矯正治療が終了した後、歯はすぐに定着するわけではありません。
保定期間は通常1〜2年が目安ですが、症例によっては長期間の装着が必要なこともあります。特に歯を数本分動かしたケースや抜歯を伴ったケースでは、後戻りのリスクがあるため、短期間の保定では不十分です。
歯を支える骨や歯茎の組織が安定するまでには時間がかかるため、保定期間を設けて後戻りの防止が必要です。期間中はリテーナーと呼ばれる保定装置を装着し、歯並びを固定します。
なお、リテーナーには取り外し可能なマウスピース型だけでなく、歯の裏側に接着する固定式もあるため、担当の歯科医師に相談すると良いでしょう。
リテーナーの装着時間や取り扱いについては、担当医の指示に必ず従いましょう。
まとめ
インビザラインは、簡単に取り外し可能で目立ちにくい矯正治療ですが、治療期間には個人差があります。
正しい装着時間や交換頻度を守らないと思い通りの結果を得にくいため、計画通りに進めるには歯科医師との連携と毎日の自己管理が重要です。
また、矯正後の保定期間も含めた将来的な視点でのサポートも欠かせません。
なお、名古屋駅すぐの名駅歯科クリニック・矯正歯科では、精密な検査に基づいた治療計画をご提案し、患者さま一人ひとりに合ったインビザライン治療を提供しています。
通いやすい立地と充実したアフターケアにより、安心して治療に臨んでいただけるよう配慮しておりますので、インビザライン治療をご検討の方はお気軽にご相談ください。