矯正歯科の選定は、治療の質や将来的な結果に大きく影響するため、慎重な判断が求められます。
しかし、「何を基準に選べばよいのか」「どのような点に注意すべきか」迷われる方も少なくありません。
この記事では、矯正歯科の基本的な役割から失敗しない選び方、治療を円滑に進めるために医師と共有しておきたい内容までわかりやすく解説します。
矯正歯科とは
矯正歯科は、噛み合わせや歯並びの不正を機能的かつ審美的に改善するための歯科医院です。
ここでは、矯正歯科とはどのような歯科医院なのかについて詳しく解説します。
一部もしくは全体の歯列を治す歯医者
矯正歯科は、一部もしくは全体の歯列を治す歯医者のことです。
部分的な治療(前歯のみ等)から、全体的な不正咬合(開咬・がたつき・反対咬合など)の治療まで幅広く対応している歯科医院として知られています。
一般的に部分矯正は軽度なケースに限られますが、全体矯正は重度のケースを含めより包括的な治療計画で進めていくのが特徴です。
まずは、患者さま自身がどちらの治療が必要かを判断し、選ぶことが求められます。
一般歯科や審美歯科との違い
矯正歯科は、一般歯科や審美歯科とは違う分野です。
主な違いについては、以下のようになっています。
- 一般歯科:歯周病や虫歯の治療に対応している歯科医院
- 審美歯科:被せ物やホワイトニングなど外見重視の治療に対応している歯科医院
矯正歯科でもまれに歯周病や虫歯の治療を行ったり、被せ物やホワイトニングを行ったりしますが、機能性と審美性の両面から対応するのが特徴といえるでしょう。
具体的には、咀嚼力や見た目を総合的に改善するのが矯正歯科の役目です。
症例によって相談する歯科医院が違うため、注意が必要となります。
矯正歯科の選び方
矯正歯科は、アクセス面やケア体制だけでなく、専門性や利便性などの観点から総合的に評価することが重要です。
ここでは、矯正歯科の選び方について詳しく解説します。
アクセスしやすい立地か
矯正歯科は、何度も通院する必要があるため、アクセスしやすい立地かどうかが重要です。
駅近であったり駐車場完備であったりと、通いやすいかどうかが重要となります。
交通機関の使用を検討している人は駅から徒歩で通えるか、自動車やバイクを持っている人は駐車場があるかをそれぞれ確認しておきましょう。
アフターケアが充実しているか
歯科医院は、アフターケアが充実しているかどうかで選ぶのもよいでしょう。
定期的なクリーニングや保定装置の調整など、矯正歯科は術後の管理体制が整っているかどうかが重要です。ケア体制が万全か、一度じっくりと検討してから選ぶことが求められます。
具体的なアフターケアの内容については、公式ホームページを確認するのが望ましいです。
もし公式ホームページを見てもわからない場合は、直接問い合わせることを推奨します。
矯正装置の選択肢がいくつかあるか
矯正装置の選択肢がいくつかあるかどうかも、矯正歯科選びでは欠かせません。
単に矯正装置とはいっても、装置が目立ちにくいマウスピース矯正の他、着実に歯を動かすことが期待できるブラケット矯正やワイヤー矯正があります。
どの矯正装置に対応しているかは矯正歯科ごとに違うため、先に確認しておくと安心です。
なお、装置ごとのメリット・デメリットについてはインターネットの記事で調べるだけでも十分ですが、担当の歯科医師にも直接聞いてみると良いでしょう。
疑問点は必要に応じて事前に質問し、解消しておきましょう。
クリニックの清掃が行き届いているか
院内感染防止の観点から、クリニックの清掃が行き届いているかどうかも重要です。
器具の消毒や滅菌をはじめ、診療台や待合室に清潔感があるかどうかは、今後の通院のモチベーションにも直結するでしょう。
機材を含めユニットが清潔かどうかを一つの判断基準とすると、より安心して選べます。
コミュニケーションが取りやすいか
矯正歯科は、コミュニケーションが取りやすいかどうかも見て判断したいところです。
専門的な用語が並ぶ歯列矯正では、よくわからない単語も度々出てきますが、丁寧に説明してくれるところであれば不安を感じずに治療に専念できます。
患者さまの要望に対して柔軟に対応してくれる姿勢があれば、快適に治療を受けられるでしょう。
歯科医師・歯科衛生士が常勤しているか
歯科医師や歯科衛生士が常駐しているかどうかも、矯正歯科選びでは重要です。
担当医が頻繁に変わるところは治療の一貫性が損なわれる可能性があるため、同じ歯科医師が常に勤務しているかどうかを確認しておくことが求められます。
また、歯列矯正では装置の調整だけでなくブラッシングやメンテナンスも重要となるため、頼りになる歯科衛生士が在籍しているかどうかも確認しておきたいところです。
歯列矯正に精通した歯科医師と歯科衛生士のいる歯科医院であれば、より安定した治療を受けられます。
治療の計画・方法が明確か
治療期間をはじめ導入装置や抜歯本数、来院頻度など治療の計画や方法が明確かどうかも矯正歯科選びでは欠かせない要素といえるでしょう。
本来、治療の計画や方法についてはカウンセリングの段階で明確にされますが、歯科医院によっては曖昧なままの可能性もあります。
最近では丁寧な説明を行ってくれるところがほとんどですが、すべての歯科医院がそうとは限らないため、注意が必要です。
費用の説明が十分か
費用の説明が十分かどうかも、矯正歯科選びでは欠かせない要素の一つです。
矯正歯科は、特定の疾患(口唇裂・口蓋裂等)を除き原則として自由診療であり、保険適用外のケースが一般的です。総額がいくらになるのかについては、必ず確認しておきましょう。装置ごとの費用の違い、治療以外にかかる追加費用についても確認しておくと安心でしょう。
なお、支払い方法には何があるか、デンタルローンが活用できるか、分割払いが利用できるかなども確認しておくことが求められます。
評判が良好か
評判の良し悪しについては個人的な見解が含まれるため、参考程度にとどめておきたいところですが、他の人が実際に利用してどう感じたのかについては非常に参考になります。
歯科医院によって、評判が良いところと悪いところの両方があるため、具体的にどのような意見があるのかを調べておくのが理想です。
矯正歯科選びでの確認事項
矯正歯科を選ぶ場合、確認事項についても把握しておくと安心です。
ここでは、矯正歯科選びでの確認事項について詳しく解説します。
契約書や診断書がもらえるか
初診時や治療開始前に、契約書や診断書を文書で提出する歯科医院は同意の透明性が確保されており、比較的安心といえるでしょう。
逆に、最低限の書面しか出していないところはトラブルになった際に厄介です。
歯列矯正は、何十万円〜100万円ほどのお金が動く契約となるため、特に金銭面については具体的な書類で残しておくことが求められるでしょう。
追加料金が含まれているか
治療費に追加料金が含まれているかどうかも、事前に確認しておきましょう。
矯正装置の調整料、保定装置の代金、保険外検査の有無により追加料金が発生する可能性もあるため、事前に見積もりをよく確認しておくことが推奨されます。
歯周病や虫歯の治療で追加費用がかかることもあるため、総額いくらかかるのかを確認するのが望ましいです。
不要な検査をしないか
あまりない例ではありますが、咬合分析やパノラマX線などの必要な検査以外に、不要な検査をおすすめしてくる歯科医院には要注意です。
もちろん、無駄な検査を行う歯科医院は滅多にありませんが、ゼロとは言い切れません。
本当に必要のある検査なのかについては、ヒアリングの段階で担当医に確認しましょう。
待ち時間がどれくらいか
歯医者の待ち時間が長すぎると、身体的にも精神的にも負担がかかります。
そのため、待ち時間が平均してどれくらいなのか事前に確認しておくと良いでしょう。
完全予約制の歯科医院であれば、待ち時間を短縮できます。
矯正治療で医師と共有しておくこと
歯医者の担当医とは、事前にある程度の情報を共有しておくと治療がスムーズです。
ここでは、矯正治療で医師と共有することについて詳しく解説します。
気になっている箇所について
矯正歯科では、まず気になっている箇所について共有しておきましょう。
顎が左右非対称である、噛み合わせに不正がある、前歯に隙間があるなど、気になっている箇所を具体的に伝えることで治療プランの精度が向上します。
過去に特殊な治療を受けた場合は、その旨も伝えておくとより安心です。
治療にかけられる予算について
矯正歯科はまとまった予算が必要となるため、治療にかけられる予算についても共有しておくと良いでしょう。
歯科医院によっては、予算に合わせて選べるよう複数の矯正装置を提供していることがあります。また、分割払いに対応しているところもあるため、事前に相談しておくことで無理なく治療を受けられます。
通院できる日時について
学生は学校、社会人は会社の予定によって通院できないケースがあるため、通院できる日時についても共有しておくことが重要です。
具体的な時間帯や日付の希望を伝えておけば、通院スケジュールを調整できます。
目指す歯並びについて
咬合を安定させたい、自然な笑顔を取り戻したい、前歯の中心線を合わせたいといった目指す歯並びについて共有しておくことも重要です。
具体的なイメージ写真などを見せておけば、担当医も理解しやすくなります。
リスクについて
歯列矯正は、矯正歯科で行われている治療の一つですが、リスクがまったくないわけではないため、事前に共有しておくことが求められます。
例えば、後戻りする可能性や痛みが発生する可能性など、具体的なリスクについて聞いておくことで患者さま自身の冷静な判断が可能です。
もちろん、歯医者は患者さまが納得してから治療を進める決まりとなっているため、許可なく進めることはありませんが、気になる点がある場合は事前に相談しておくと良いでしょう。
まずは、信頼できそうな歯医者に相談するところから始めましょう。
まとめ
矯正歯科を選ぶ場合は、アクセス面やケア体制だけでなく、専門性や利便性などの観点から総合的に評価することが重要です。
選び方に正解も不正解もありませんが、当記事でまとめた内容を参考にしながら判断することで自身に合った歯医者を選びやすくなります。
なお、名古屋駅から徒歩すぐの名駅歯科クリニック・矯正歯科では、矯正歯科の専門的な技術と知識を備えた認定医が常勤し、患者さま一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療を提供しています。
当院は通いやすい立地と清潔感のある院内環境、複数の装置選択肢、透明性のある治療に力を入れているため、初めて矯正治療を検討している方もご相談いただけると幸いです。