ふとした瞬間、あなたの上下の歯は口の中で離れていますか?それともくっついていますか?
無意識下で上下の歯が接触しているのは、実はあまりよい状態とはいえません。
これには「TCH」という呼び方があり、その名の通り「無意識下で上下の歯をくっつける癖」という意味を持ちます。
数ミリ程度は離れているのが正常で、くっついている状態が長時間続くと歯や歯槽骨へ大きなダメージを与えます。今日明日でトラブルが起こることはありませんが、いずれ口腔内や全身に悪影響を及ぼすでしょう。
もう1つ注意してほしいのが「日頃の悪習癖」です。噛みしめや歯ぎしりが行われている場合、ダメージはグッと増大します。ただこれらの悪習癖は、物事に集中しているときや就寝中など、無意識下で行われることが大半です。
「自分は大丈夫!」と思っていても、知らないうちに歯へ負担をかけているかもしれません。とても恐ろしい話ですよね。
1.無意識に歯を合わせていませんか?
無意識下で行われる悪習癖が、歯によい影響を与えないことは一般的に広く知られている話です。
放っておくと顎関節や身体の筋肉など、全身へ悪影響を及ぼすでしょう。
軽度の場合は見過ごされることが多いですが、場合によっては専用のマウスピースなどを用いた対処が必要になることもあります。
あなたは物事に集中しているときやふとした瞬間に、歯を合わせていませんか?
ピンとこない人は、読書中やスマホを操作しているときの様子を思い返してみてください。
何か心当たりがある場合、歯や身体にダメージを与えているかもしれませんよ。
2.TCHが及ぼす影響とは?
TCHが生じやすいのは、何かに集中しているときや緊張しているときなどです。
原則として食事や会話のとき以外に、上下の歯が触れることはありません。歯を長時間合わせていると、歯だけでなく顎関節や筋肉にも大きなダメージを与えます。
放置していると、最悪の場合は歯を失うかもしれません。ヒビが入って欠けたり割れたりしたというケースは、決して少なくないのです。
また歯周組織や歯茎の周りで炎症が起こり、知覚過敏や歯周病を起こす可能性もあります。顎関節や筋肉が疲弊し、顎関節症や全身症状(頭痛、耳鳴りやめまいなど)が生じるリスクもあるでしょう。
TCHによるダメージは比較的軽度ですが、放っておくと悪習癖にエスカレートする可能性もあります。まずは自身の癖について自覚し、適切な方法で対処しましょう。
3.TCHによる具体的な症状とは?
まず挙げられるのが、歯の痛みや違和感、知覚過敏といったお口周りのトラブルです。
症状が進行すると、顎関節の痛みや口の開けにくさ、頭痛や肩こりなどの頭部周りの症状が次第に出てくるでしょう。
また上下の歯が触れると唾液の分泌が促され、飲み込む回数が増加します。その結果、ゲップやオナラなどが増えることもあるようです。
さらにTCHが発端となり、悪習癖が生じたり悪化したりするケースも報告されています。心当たりがある場合は、放置せず早めに診てもらうことが大切です。
初期症状を理解して早急に対策を!
TCHを始めとした悪習癖の難点は、なんといっても患者さま本人が自覚しにくいということです。
症状として知覚過敏が出るケースが多いので、
「最近冷たいものや歯ブラシの毛が歯に染みるなあ」
と感じた場合は悪習癖を疑いましょう。
また詰め物が頻繁に取れたり、朝起きたときに顎やその周りの筋肉がこわばったりするのも一つのサインです。
ピンとこない人は、意識的に上下の歯を離してみてください。なんとなく違和感がある場合、無意識下でTCHが起こっている可能性が高いといえるでしょう。
今回はここまでです!
次回も同じテーマを取り上げて、予防法を中心に解説します。