歯石が沈着しやすい人には、一体どのような特徴があるのでしょうか。
「口の中が不衛生である」と言ってしまえば終わりかもしれませんが、それ以外にも原因があります。
本記事では、唾液の特徴に着目して解説します。
1.唾液がアルカリ性である
「唾液がアルカリ性の状態は、むし歯になりにくい」
このような話を耳にしたことはありませんか?
確かにアルカリ性の唾液は、むし歯菌が放出した酸を中和させて歯の再石灰化を促します。
しかし唾液に含まれるリンやカルシウムは、一般的に歯垢と結合して歯石になります。アルカリ性の唾液はむし歯になりにくい一方で、歯石が付着しやすくなると考えてよいでしょう。
2.唾液の分泌量が多い
唾液の量が多ければ多いほど、歯の再石灰化を促進させる作用が大きくなります。その結果、歯石がつきやすくなるでしょう。
3.唾液がサラサラとしている
人によって、唾液の質は異なります。サラサラとした唾液の場合は歯を再石灰化しやすく、歯石が付着しがちになってしまうでしょう。
歯石が付着しやすいのはどこ?
歯石はどこについてもおかしくありませんが、付着しやすい部分というものが存在します。
広く知られているのは「下の歯の裏側」ですが、そこだけではありません。実は唾液が分泌される「唾液腺」の付近にも、沈着することが多いのです。
歯石が沈着しやすい部分を紹介しますので、歯磨きの際は重点的にブラッシングしましょう。歯垢を残さないことが重要です。
1.上の奥歯の表側
基本的に、唾液腺の近くは歯石が付着しやすい部分です。「舌下腺・顎下腺・耳下腺」の、三大唾液腺の付近は特に注意しましょう。上の奥歯の表側の付近には「耳下腺」があり、気を付けるべきポイントのひとつです。
2.下の前歯の裏側
先ほど紹介した通り、下の前歯の裏側も気を付けてほしいポイントです。近くには「舌下腺」と「顎下腺」があり、唾液の約8割がそこから分泌されています。歯磨きの際は入念に磨きましょう。
3.歯並びが乱れているところ
歯並びは人によって異なるため、一概にどこであるとは言えません。特に注意してほしいのが、歯と歯が重なっている部分です。磨き残しが生じ、歯垢が沈着しやすくなります。
4.歯肉からの出血が見られる部分
実は血液にも、石灰化を促す作用があります。そのため歯周病などで歯肉が出血していると、歯石がつきやすくなるので注意してください。ただし出血が原因で歯石がつくケースでは「縁下歯石」といって、歯の表面よりも歯肉の中へ沈着することが大半です。黒くて硬いという特徴があり、通常の歯石とは見た目も異なります。
歯石はいつ取り除くべき?
歯石はすぐ取るに越したことはありませんが、自宅で除去することは困難です。インビザラインで歯列矯正を行う場合は、次のいずれかのタイミングで取り除きましょう。
1.歯列矯正の前
一般的にインビザラインでは、装置の型取りを行う前に歯石のクリーニングを行います。歯石がついたまま型を取ると、その後の治療計画にズレが生じるためです。
ただ、中には事前の歯石クリーニングを実施しない歯科医院もあります。心配な方は、事前に確認することをおすすめします。
ただ矯正専門医院ではクリーニングを行わない歯科医院もあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
2.歯列矯正の途中
インビザラインに限らず、歯列矯正をしている間は口腔トラブルが起こりやすくなります。そのため、定期的な歯石の除去が欠かせません。
通院のときに歯石のクリーニングを行う歯科医院が大半ですが、気になる場合は事前に確認しましょう。
3.歯列矯正完了後
長期の歯列矯正が終わると、大きな開放感に包まれます。
しかし、むし歯や歯周病を予防するためにも、定期的な通院は継続してください。半年に1回程度は、歯石の除去を含む定期検診を受けましょう。
歯石の付着を防ぐには?
歯石は基本的に、ご自身で除去できません。
日頃のセルフケアを徹底し、歯垢の段階で取り除くことが重要です。
ブラッシングのほか、必要に応じた歯間ブラシやデンタルフロスの使用をおすすめします。歯並びの乱れなどで歯が重なっているところは、重点的に磨いてください。また上の奥歯の表側、下の前歯の裏側なども歯石がつきやすい部分です。
また歯科検診についても、半年に1回程度は欠かさず受診しましょう。歯科医院で行うスケーリング(歯石除去のクリーニング)では、超音波を用いて歯石を砕き、取り除きます。自宅でのセルフケアと歯科医院でのプロケア、両方を行うことで歯石沈着は防げるでしょう。
まとめ
歯垢が石灰化したものである「歯石」の沈着は、歯垢を取り除くことで予防できます。インビザラインの途中で治療期間の延長や口腔トラブルを引き起こさないためにも、日頃の口腔ケアを丁寧に行ってください。
定期的に歯科検診を受けて、お口の中を清潔に保つことも忘れないようにしましょう。