歯科治療には、公的な保険が使える場合と使えない場合があることを皆様はご存知でしょうか。
基本的には、歯科矯正に対して公的な保険が使えることはございません。
その為、実際に歯科矯正を求めて歯科医院へ訪れた方の中でも、必要な費用を相談する中で、治療に踏み込めない方もみえます。
歯は生涯に亘って付き合うものである為、笑顔がしっかりと歯を見せて出来るかなど外見的なことにも関係します。
費用の関係で希望している歯科矯正を断念しないように、今回の記事を通じて事前の知識を身につけましょう。
歯科矯正はなぜ公的な保険が使えないのだろう?
冒頭でもお話しした通り、歯科矯正を公的な保険で行うことはできません。それは歯科矯正が「自由診療」であるからです。
必ずしも公的な保険が適用されない訳ではありませんが、希望している歯科矯正が「厚生労働大臣が定める53の疾患」と認定される必要があります。また、歯科医院での診察とは違い、最初から口腔外科などの医療機関へ訪問し診断をする必要があります。
「厚生労働大臣が定める53の疾患」ってどんな疾患?
「厚生労働大臣が定める53の疾患」には、具体例を出すと小舌症や唇顎口蓋裂、骨形成不全症などを含めた53種類もの疾患がございます。
もしもこの53種類の疾患が要因で咬合が悪くなっている場合は、公的な保険が適用されます。
この53種類の疾患の可能性がある時は、「歯科矯正診断料算定の指定医療機関」を受ける必要があり、かかりつけ医の判断が求められる為、個人的に判断をしないようにしましょう。
保険が適用になる疾患について2種類ご紹介いたします。
1.前歯3本以上の永久歯萌出不全が原因で起こる咬合異常の疾患
この疾患は子供がなりやすいと言われています。
永久歯の生え変わりは、6歳頃から徐々に始まり12歳ごろに完了することが多いです。
しかし、子供の中には永久歯へ生え変わらない「永久歯萌出不全」が起きることもあります。
この疾患が発症する要因として、永久歯はあるものの埋まってしまい、自力で生えることが出来ない場合が挙げられます。
埋まっている状態を改善する治療法は、「埋伏歯開窓術」という歯茎を切って埋まっている歯を引き出す外科手術です。この外科手術と同じタイミングで歯科矯正を行うことが認定されて初めて、歯科矯正の保険の適用が可能になります。
2.「顎変形症」の外科手術をする場合
アゴの骨の形が要因で噛む時に不具合が起きてしまう疾患を「顎変形症」と言います。例えば、顔が左右で対称的ではない場合や、上と下に大きく歪んでいると発生すると言われます。
アゴの骨の形がなぜ歪んでしまうかの要因は化学的に明らかになっていません。遺伝的な繋がりが要素として大きいとされていたり、小さい頃の癖が関係しているという見解を出す方もいます。
ただし、幼少期には目視できる形で顎変形症の症状は現れません。それは、年齢を重ねるにつれて、アゴの成長と合わせて顎変形症の症状が見え始めるからです。
顎変形症と診断されただけでは、公的な保険の適用ができるわけではなく、歯列矯正をする際に、顎変形症によってアゴの骨を切開する外科手術をして保険が適用されます。
保険適用後の費用について
実際に自由診療を行う際に歯科医院から提示された治療費用は、治療後に大幅に変わることなく、支払方法のほとんどが一括支払になります。
もし保険適用ができる歯科矯正の場合は、毎回の治療毎に支払いが求められます。
歯並びの現状や治療自体の進み具合によって通院回数が変動する為、それにより必要な費用も変動します。
ですので、自由診療と違い予め金額が不確かであることは注意点です。保険が適用されれば患者様のご負担は「3割負担」になるため、
身近な方が「厚生労働大臣が定める53の疾患」に含まる可能性があり、歯科矯正を検討している場合は一度かかりつけ医までご相談をお勧め致します。